極東の窓

ロシア極東連邦総合大学函館校がお送りする極東情報満載のページ。
函館から、ウラジオストクから、様々な書き手がお届けします。

FMいるか 多言語みんたる 1

С Новым годом(新年おめでとうございます)!
今年も「極東の窓」をよろしくお願いいたします。
さて、今回は昨年12月FMいるかで放送された ONE WORLD WAVE「多言語みんたる」の内容をご紹介します。4回に渡り放送された内容を随時掲載しますので、今後もお楽しみに!
ゲスト:ロシア極東国立総合大学函館校
     教頭 アニケーエフ・セルゲイ(以下アニ)
聞き手:財団法人 北海道国際交流センター
     事務局長 池田 誠(以下池田)
<12月2日放送 第1回 ロシアの誕生日とお正月>
池田:こんにちは!
アニ:Здравствуйте(ズドゥラーストゥヴィチェ)!
池田:今のは「こんにちは」という意味なんでしょうか?
アニ:辞書を引けば「こんにちは」に相当しますが、実際の意味は「お元気でいてください」という意味です。
池田:なるほど。発音が難しいですね。ロシア語について少しお伺いしたいのですが、今の「こんにちは」のほかにもう一つあるとか。
アニ:日本語の「こんにちは」に当たるのはДобрый день(ド-ブルイ ヂェーニ)。「よい日でありますように」、という意味です。
池田:これも、二つ使うということですね?
アニ:万能的なのはЗдравствуйте。それは朝も昼も夜も夜中でもいいですから。だから困ったときはЗдравствуйтеが一番いいと思います。
池田:使い分けがあるんですね。もう一つお伺いしたいのですが「ありがとう」というのは?
アニ:日本人にも馴染みがあると思います。спасибо(スパシーバ)。
池田:これはよく聞きますね。やはり覚えておいたほうがいいですね。
さて、早速ロシア風に始まりましたけれども、4回に渡ってお話をお伺いします。
今日はまずロシアのいろいろな習慣について。日本との違いがあると思うので、その辺をお伺いしていきたいなと思いますが、実は僕が興味あるのは誕生日なんです。
日本ですと誕生日だといろいろな人がプレゼントをくれたり、お祝いをしてもらいますが、ロシアはずいぶん違うと聞きました。
アニ:どこの国の人も同じだと思いますけれども、ロシアでもプレゼントをもらう機会は年に1回、誕生日だけです。だからみんな誕生日に期待をかけています。日本と違う点としては、ロシア人は誕生日を大変大切にしていること。大人になっても、死ぬまで必ず年に1回誕生日を盛大に迎える。お客さんが来て、みんなで食卓を囲み、ご馳走になって酒を飲んで祝っています。
池田:誕生日の人がご馳走するんですね?
アニ:もちろん!
池田:人数も結構集まるんですよね?
アニ:人によりますけど、必須なのは親類です。誕生日であることは親戚はみんな知っているはずです。だから呼ぶということはしないです。その日は知らせがなくても必ず電話でお祝いの言葉を言ったり、プレゼントを持って家に行く。だから誕生日に呼ぶと言う習慣はありません。
池田:だいだい家族で祝うという感じですかね。
アニ:親しい人。友だちがたくさんいれば、それはもう結婚式みたいになります。
池田:しかもそれは全部、ご馳走するわけですよね?食べ物も、飲み物も。
アニ:そうです。ロシア人は食べるのも好きで飲むのも好きです。
池田:日本人は年取っていくと誕生日をやらない人が多いですが、その辺がかなり違いますね。
アニ:そうですね。ロシア人は初めてそれを知ってびっくりします。なんで誕生日を無視しているんですか?それはわからない点です。
池田:大切にしなきゃだめですよね。
ところで12月ということで、季節の行事としてお正月があります。やはり日本でも大切な行事ですし、新しい年ということで神参りに行ったりいろいろなことをします。ロシアでも派手にやっているようですが?
アニ:日本人は、ロシアでもヨーロッパのようにお正月ではなくクリスマスを祝うのではないかと考えがちじゃないですか?しかし実を言えばロシア人は日本人と同じくお正月を重視しています。
本当のことを言えば、ロシアのクリスマスは1月7日なんです。ヨーロッパの12月25日のクリスマスも全く無関係ではありませんが。ロシアでも飲みたい人は一杯やります。熱心な人は12月25日にヨーロッパのクリスマス、12月31日にお正月、そして1月7日はロシアのクリスマス。それが過ぎたら旧新年もあります。ロシアでは1月13日の夜なんです。だから酒と会う機会はたくさんあります。
池田:何かと機会を設けてはお酒を飲む。
アニ:そうですね。
池田:12月31日から1月1日にかけては朝まで飲み通すんですよね。
アニ:飲みます、朝まで飲みます。物凄い大騒ぎです。日本は静かです。本当に退屈になるくらいです。もう10年間函館に住んでいますが、夜、外を見たら誰も歩いていない。若者は騒いでいない。みんな寝ている感じです。ロシアでは12月31日の夜は若者はみな外で遊んでいます。雪があったら雪遊び、そりなどで遊びます。また食卓にはご馳走がいっぱい出るので楽しんでいます。
池田:31日の夜からご馳走がたくさんあると。だいたい毎年何時ぐらいまで飲んでいるんですか?
アニ:普通集まるのは夜の9時。テーブルの周りに集まって最初は前菜などを食べ、12時5分前になったらシャンパンを開け、12時ちょうどに時計の音で乾杯します。そのあとは自由です。テレビを見ながらダンスしたり歌ったりします。日本人はほとんど歌わない、ダンスもしない。残念です。
池田:歌とかダンスとか好きなんですよね?
アニ:それはダンスや歌なしではおもしろくないとロシア人は信じているからです。
池田:日本人はだまってお酒飲んでる人ととかいますものね。それじゃ楽しくないと。それで何時までやるんですか?
アニ:夜が明けるまで。朝4時でも5時まででも。だから若者は帰ったらすぐ布団に入るだけです。
池田:元気がいいですね、ロシアの方は。
アニ:そうですね、一度ロシアに行ってくだされば。ウラジオストクの中央広場は物凄い賑わいなんです。自分の家で祝うのもいいですが、今の世代は親と離れた場所で若者だけで集まります。
池田:ロシアの方がご馳走してくれるときは、どんどん食べなさいと言ってくれるんですが、日本人は意外と遠慮しがちです。ロシアの方は遠慮なしでどんどんいただくという感じですよね。
アニ:1年に1回のイベントですから遠慮したら馬鹿者だと言われます。
池田:その辺もずいぶん違うなあという感じがします。
お正月と誕生日の話を聞いているうちにあっという間に第1回目は時間になってしまいました。
また来週よろしくお願いします。